昭和40年代半ばのお山参詣の行列(藤巻健二氏撮影)

昭和40年代半ばのお山参詣の行列(藤巻健二氏撮影)

岩木山神社に到着した行列(藤巻健二氏撮影)

岩木山神社に到着した行列(藤巻健二氏撮影)

岩木山は青森県最高峰であり、美しい容姿をしているため津軽富士とも称されます。岩木山はまた信仰の山でもあり、毎年行われるお山参詣は秋の津軽地方最大の祭礼です。津軽各地から集落単位の集団で行列をつくり、五穀豊穣や家内安全などを願って岩木山の山頂へ参拝するもので、旧暦八月一日に登るので「ツイタチ山かける」ともいいます。行列は岩木山神社への供物のほか長くて大きな御幣や幟(のぼり)をかかげ、笛・太鼓・鉦の囃子に「サイギサイギ、ドッコイサイギ~」のかけ声で行進します。

写真は昭和40年代中頃のお山参詣の様子です。上は麓を大きな御幣を風になびかせて行進しているところで後ろには岩木山が見えています。下は行列が岩木山神社に到着したところです。これから神社に参拝し、宿で休憩して夜中に山頂めざして出発することになります。

山岳信仰として日本でも独特な特徴を有していることから、国の重要有形民俗文化財に指定されている郷土の誇るべき行事ですが、近年、お山参詣への参加団体が少なくなっており、さみしい感じがします。地元の岩木山観光協会では、一般の方々でもお山参詣に気軽に参加できるように企画された「レッツウォークお山参詣」を行っています。興味のある方は、参加されてみたらいかがでしょうか。(民俗研究家・成田 敏)