青森県の様々な時代の歴史と文化を次の世代、未来の豊かな県民文化へと引き継ぐべき存在が文化財です。中でも風俗習慣や民俗芸能などの無形民俗文化財は地域の誇りであり、そこに住む人々が守り、そして伝えて行くものだと思います。そして、青森市の代表的無形民俗文化財といえば、1980年に国指定重要無形民俗文化財となった『青森のねぶた』です。

大正時代の跳人

大正時代の跳人

この「青森のねぶた」や「岩木山の登排行事」、県指定無形民俗文化財「高田獅子(鹿)踊」の衣装等の展示を一同に見れる企画展【心踊るあおもり展~民俗行事のなかの衣装と小道具~】が、青森市野沢にある「縄文の学び舎・小牧野館」で開催されています。展示室に入ると、今年6月24日に行われた高田ねぶたの模様を動画やパネルなどで紹介しています。ロウソクで灯るねぶたの様子、実物の使用した丸いロウソクもありました。獅子踊りの獅子頭とオカシコの面や半纏ほか、岩木山の登拝行事の衣装なども見ごたえのある展示となっています。

獅子踊りと御山参詣の衣装

獅子踊りと御山参詣の衣装

この他、佐藤伝蔵ねぶた名人と鹿内一生ねぶた名人の大型ねぶたの面の展示は、年数も経過しており破損も目立ちますが、かつての名作の実物を見れるまたとない機会となっています。

名人ねぶたの面

名人ねぶたの面

更に、タウン誌「あおもり草子」の青森ねぶた関係のバックナンバーやなつかしの跳人浴衣や小道具、ねぶた師秋田覚四郎氏が制作した版画の版木、あるいは昔のねぶた写真を「青森ねぶた全集」(工藤友哉氏作成)や「青森ねぶた誌」(青森市発行)で調べるコーナーなどもあり、非常に充実した内容となっています。今ではなかなか見れないモノ、そしてその背景にある様々なヒトの想いを感じながら、青森の歴史に改めて興味を持つきっかけとなる展示のように感じられました。「縄文の学び舎・小牧野館」は入館無料。会場が青森市中心街から少し離れた場所にありますが、8月20日まで開催していますので、是非多くの方々に見て欲しい企画展です。

「心躍るあおもり展」ポスター

「心躍るあおもり展」ポスター

◆この記事は、一般社団法人 小牧野遺跡保存活用協議会理事・事業部長の後藤公司さんにご協力いただき作成しました。また写真家藤巻健二さんから、開幕直前の青森ねぶたの写真をご提供頂きました。◆

2107年 青森ねぶた 青森山田学園他

2107年 青森ねぶた 青森山田学園他

(青森まちかど歴史の庵「奏海」の会:青森太郎)