校歌の練習風景

校歌の練習風景

東高校に入って直ぐ思った事は、「何故こんなにも熱心に校歌を練習させるのだろう。」だった。私なりに考えて、多分、私達は三回生なので、私達の入学でやっと三学年が揃った事になり、校歌を作曲した間宮先生が理想としていた校歌の合唱や輪唱を、早く実現したいのだろうなと思いながら、いやいやだけど大きな声で歌っていた。

小・中学生の時の校歌は、音楽の時間に練習をして覚えたものなのに、東高校に入学したとたん、全校朝会や学年集会の度に、殆ど毎日のように練習をさせられた。合唱になっていないと何度もやり直しを食らい、まだまだ大きな声が出るだろうと言われたり、間宮先生は、それはもうベートーベンのように髪を掻き揚げながら指揮をしていた。

まだ入学したての私には、その間宮先生の熱心さが不思議でならなかったのだが、でもそのお陰もあってか、今でも気持ちの良い日など、「風よ運べ、鍛えて運べ、命の香り爽やかに。・・・・未来の故郷へ。」と歌える。しかし40年経った今、校歌は1人で歌ってもつまらない物だなと、つくづく思う今日この頃である。(文と絵:張山喜隆)