俳優高倉健さんの代表作の一つに、昭和50年代前半に公開された映画「八甲田山」があり、青森県を舞台にした映画であることは広く県民にも知られています。しかし、その映画のスチールを担当していたのが、青森市在住の写真家藤巻健二さんであることを知る市民は、残念ながら多くはありません。藤巻さんは森谷司郎監督から、「この映画のスチールを撮れるのは、あなたしかいない」と三顧の礼を持って迎えられた程、卓越した技量を持つ写真家です。厳冬期の八甲田山中で三シーズンにわたって撮影された広報用の写真の一部は、40年近くも藤巻さんの手元に大事に保管されてきました。
上の写真は、弘前第31連隊の徳島大尉(高倉健)が八甲田を越え、田茂木野に至ったシーンです。映画では屋外ロケのように見えますが、静止画で見ると帽子の縁やヒゲに凍りついている氷は、ロウ細工であることがわかります。藤巻さんから、この場面は真夏の撮影所で、スタッフは汗をかきながら収録したと聞くと、ロウ細工であることに納得がいきます。
下の写真は、映画撮影当時の藤巻さんのスナップ写真です。今でも少年のように若々しい彼は、来年3月に80回目の誕生日を迎えます。(青森まちかど歴史の庵「奏海」の会会長・相馬信吉)
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