幸畑から見えた青森空襲の様子(絵:張山喜隆)

幸畑から見えた青森空襲の様子(絵:張山喜隆)

幸畑で生まれて今までここに居るから、もう90年もいるけど、あんなにきれいな花火は見た事が無いと言えば語弊もあるかと恩うけど、実際の話、きれいだし恐ろしいし、もう二度とあんな物は見たくないと思った。

丁度夕方で夕涼みがてら庭に出たら、見た事もない大きな飛行機が、空を暗くするほど飛んで来て青森の方に飛んで行った。と思ったら、町の上空で、パット花火の様なものが作裂したかと思ったら、あっという間にあちこちから大の手が上がり、それでも、もうこれ以上はいらないでしょうと思う位それが続いて、余り怖くて家の中に一旦は逃げ込んだのですが、外の人達の声が聞こえて来るのでまた庭の柿の木の下に隠れるようにして見てみたら、もう青森の街全体が炎の渦巻になってしまっていた。それでもまだ焼夷弾を降らせているのが見えたので、凄く敵が憎たらしくて、気が付いたら奥歯をギリギリと噛んでいた。

そうこうしていたら、幸畑の高台にも町から人々が逃げて来て、見たら皆髪も着ている物も焦げてボロボロでした。よくそれでここまで逃げて来たなと、子供達の頭をなでながら今度は涙が止まらなくなって、もうあんな事は二度と起こって欲しくないな。世界中でそう恩ってくれれば、戦争は起きないのでしょうが、まだ人の痛みが分らない国が多いようだからな。備えだけは必要だと恩った。(聞き書き:張山喜隆)