昭和50〜60年代に、ここ青森市に「青森県民話の会」が存在し、20年間にわたって活発な文化活動をしていたことを最近知った。2024年3月末で棟方志功記念館の閉館を止められなかった青森市民の一人として、再びこの街の民度をあげていくための方策を探るヒントになればとの思いで、以下に民話の会の活動概要を記しておくものである。(相馬信吉)

●青森県民話の会二十年のあゆみ
 会の誕生、それは劇的に出現したものではなかった。
 青森県児童文学研究会の活動の中から、ごく自然にこの会は生まれたのです。
 昭和三十七年に発足した、地域に根ざした童話作りを進めるグループ「青森県児童文学研究会」(以降児文研)は、会員達の勉強、研鑽の一環として昭和五十七年九月より”青森県の昔話とわらべ唄を聞く会”を実施していました。回を重ねていくうちに会員や、参加した人達が民話をより多く、深く知りたいとして生まれたのが「青森県民話の会」の誕生なのです。
 児文研は、既に児童文学関係の仕事をしていた人や、創作童話や挿絵家として活躍中の人達が中心に活動している、プロの集団というイメージですが、民話の会は、ごく一般の人が中心になり、地域に語り継がれている昔話やわらべ唄などの収集や再話、記録、そして、それらを子供達に返していくという活動に賛同する人であれば誰でも入会できる、という会です。
 青森県民話の会は、昭和五十八年六月に誕生し、同八月二十二日に青森市新町二丁目の津軽物産二階にて、会員数十五名で発足式を行い、船出をしたのです。 民話の会は親元といえる児文研から独立しつつも、民話の記録、普及活動の趣旨と重複する部分で、密接な関係を保ちつつ、今日に至っています。
 今、会は創立二十周年を迎え、世の変化を見据え、次世代へつなぐ文化、伝える文化を検証しています。 キーワードは初心に還り「子供らに美しい夢を」の実現です。(出典:「むがしっこ」第9号 青森県民話の会 平成15年)