日本の北に位置する青森市は冬の期間が長く、寒冷な気候は人びとの生活に多くの制約を生じさせました。特に降り積もった雪は人や物資の移動に極めて深刻な影響を与えてきました。

 写真1(使用写真は、いずれも写真家藤巻健二さんの撮影です)は半世紀前の青森市夜店通りの様子ですが、昔は今より雪が多かったといわれるように、街が雪に埋もれている状態といってよいでしょう。明治以来大火が多かった青森市では、戦前から「こみせ」(=ひさしのついた通路)が禁止されていて、降雪期の往来には難儀しました。また青森市は、日本の県庁所在地として最も積雪が多いともいわれています。

 吹雪のときの子どもたちの登下校も大変でした(写真2=浪打小学校/昭和30年代前半)。当時は機械除排雪はなかったので、降った雪は道路端に山のように積み上げられています。今は、機械力で通学路の除排雪を行っていますので、隔世の感があります。

 昭和32(1957)年2月に撮影された写真3は、ようやくバスに乗ることができた乗客の雪まみれの姿は長い時間停留所で待っていたことを想像させます。車社会に突入する前の、青森市内での移動手段としては、バスが一番便利だった時代でした。

 今回は半世紀以上前の昭和30年代前半期の古写真から、昔の雪国の暮らしを皆様に紹介しました。お手元に、このような古い写真が1枚でもありましたら、奏海へご提供下さい。

(成田敏/相馬信吉)

※このコーナーは、2021年11月から月刊「エー・クラス」青森(青森市内全戸配布フリーペーパー 約14万部)に連載を依頼され、当該雑誌が継続する限り続けるものです。青森市以外の皆様にも、閲覧できるようHPでご紹介します。

写真1
写真2
写真3

※このコーナーは、2021年11月から月刊「エー・クラス」青森(青森市内全戸配布フリーペーパー 約14万部)に連載を依頼され、当該雑誌が継続する限り続けるものです。青森市以外の皆様にも、閲覧できるようHPでご紹介します。