寂しい疎開

寂しい疎開

その日の夕方の五能線の汽車で私達は親戚のいる木造村に向いました。でも帰りの汽車は貨物列車で、屋根のない貨車にずっとしゃがんだままで乗って行き、トンネルの中も汽車の煙の煤で皆真っ黒になっても、誰もが無言で乗っていました。一緒に青森に帰った叔母さんや赤ちゃんやそのお姉ちゃんも、絶対に一緒に帰りたかったはずだと思うと、私はずっと顔を上げる事は出来ないまま木造村の駅におりました。

戦争というあんな残酷な事は、もう二度と起こして欲しくないですね。