そろそろ街を歩きたい季節となりました。小中学校では地元の歴史や母校の先輩たちについて学ぶ機会もあるようですが、高校では、歴史ある学校でも、なかなか時間が取れず、また、校舎の移転や建て替えによって、史料も残っていない、というようなことが、よくあります。そこで今回は、文学を愛し、寺山修司の後輩を自負する青森高校文学部の生徒たちと、青森の先人たちを訪ねる旅です。

 アピオ青森から北上して国道に出るちょっと手前は寺山の通ったマリア幼稚園跡。国道を越え、一本北の寺町通りを新町の方へ数メートルいくと太宰治の下宿跡です。ここから合浦公園のところにあった、旧制青森中学に通ったのですね。また北上して本町通りを右折すると左手にコインパーキングが見えます。今泉書店跡で、その隣には高木恭造(詩人)と甥の彬光(推理小説家)の生家がありました。更にもう一本北、県立郷土館を東へ行くと左手に寺山が住んでいた歌舞伎座跡(現モルトン迎賓館)が見えます。そこから南下して国道には文化会館。ここは野脇中学校跡地で、その前は青森高校前身の一つ、県立青森高等女学校でした。国道を挟んで向かい側は北畠八穂(児童文学者)の生家跡です。更に南下して、中央市民センターで太宰の文学碑等を見て、棟方志功記念館を見学すると、約3キロの散歩道となります。長すぎるという方に「文芸のこみち」(全長・女子高生なら約600歩)はいかがでしょうか。

 「文芸のこみち」は平成6(1994)年、市民文化祭30周年記念として整備されました。国道の一本南側、タケダスポーツの裏側です。文学者だけでなく、淡谷のり子(歌手)、福島常作(画家)、菊谷栄(脚本家)や大道寺繁禎(実業家・政治家)等17人の文芸の碑が併せて16基あります。ここにある太宰の碑の言葉を借りて終わりとします。「さらば読者よ/命あらばまた他日/元気で行こう/絶望するな/では、失敬」(西谷ともえ/青森高校教諭)

あおもり文学MAP(制作:青森高校文学部イラスト班)
写真1 文芸のこみち
写真2 太宰治碑

※このコーナーは、2021年11月から月刊「エー・クラス」青森(青森市内全戸配布フリーペーパー 約14万部)に連載を依頼され、当該雑誌が継続する限り続けるものです。青森市以外の皆様にも、閲覧できるようHPでご紹介します。